リゴレット

リゴレット

リゴレット――あまり聞き馴染みのない名前かもしれませんが、これはヴェルディの作り上げたオペラの中でも有名な作品のうちのひとつです。現在では、ローマ歌劇場などでオペラの公演が行われており、またその人気も高く、リゴレットの音楽をCDに集めたものや、リゴレットを収録したDVDも販売されています。音楽としても、オペラという物語としても非常に楽しめるリゴレットに触れてみてはいかがでしょうか?

リゴレットとは?

リゴレットが作られる経緯といては、リゴレットの作曲者であるヴェルディがヴェネツィアにあるフェニーチェ劇場(フェニーチェ座)のために、新作のオペラを書くということを、1850年の4月に契約したことが始まりでした。

色々なシナリオを検討していく中、モチーフとして持ち上がったのは、「王は愉しむ」という戯曲でした。これは、「レ・ミゼラブル」の作者として知っている方も多い、ヴィクトル・ユーゴーという小説家の作品が原作となっています。この作品の主人公である道化師をヴェルディはとても高く評価しています。

しかし、この作品は当時においては上演や出版が止められてしまうなどの問題のある作品でもありました。そのため、このリゴレットを上演するまでには、色々な設定を原作とは変更し、原作の「王は愉しむ」とは多少物語の違うオペラ、リゴレットが完成したのです。そして最終的にリゴレットが上演されたのは翌年の3月のことでした。


リゴレットのあらすじ

リゴレットは、とある公爵に仕える道化師を主人公としたオペラです。リゴレットと同じく、フェニーチェ劇場で初演が行われた椿姫や、ヴェルディのオペラでも知名度の高いアイーダなどとは違い、リゴレットは主人公の恋愛模様が描かれているわけではありません。ですが、愛の歌も歌われており、物語としても、音楽性で見ても、非常にバラエティに富んだ作品といえます。では、リゴレットのあらすじについてご紹介します。
(あらすじといいながら、結末まで書いていますので、ご注意ください)

前奏曲

2分前後の短い曲です。しかし、この曲が持つ意味というのは非常にこのオペラにとって重要なポイントです。この前奏曲のメロディは覚えておいた方が良いでしょう。

第1幕のあらすじ

第1場のあらすじ
舞台は貴族たちが集まる舞踏会。舞踏会の会場は、数多くの女性を手玉に取ってきた女好きのマントヴァ公爵の屋敷の大広間。屋敷の主のマントヴァ公爵は廷臣を相手に語ります。「日曜の教会で美しい女を見かけるのだが…」教会に現れる美しい女が気になるマントヴァ公爵。

しかし、目の前を美女・チェプラーノ伯爵夫人が通り過ぎるとあら不思議、あっという間に目標変更。女と見れば、肩に腕を回し、腰に手を回す。そんな女好きのマントヴァ公爵の今宵の獲物はチェプラーノ伯爵夫人に決まります。もちろん、言葉巧みにマントヴァ公爵はチェプラーノ伯爵夫人を口説き落とし、マントヴァ公爵は別室へと消えてゆきます。

愛する妻をマントヴァ公爵に口説かれてしまったチェプラーノ伯爵。妻はどこに行ったかと探し回っていると、それは面白いとリゴレットがチェプラーノ伯爵を笑いものにしてしまいます。

そんな道化師リゴレットは、マントヴァ公爵のお気に入り。異形ともいえるこの小男です。が、マントヴァ公爵のお気に入りなので、廷臣たちは毎度リゴレットにからかわれていました。もちろん言い返すこともできません。そんなところに入ってきた情報は、リゴレットには美しい情婦がいるという情報でした。これはつかえると廷臣たちはにやりとします。

さてさて、リゴレットによって笑いものにされてしまったチェプラーノ伯爵。他の客人までにすら笑われてしまい、怒り心頭です。そんなところに現れたのは、チェプラーノ伯爵夫人の実の父親であるモンテローネ伯爵でした。

娘を弄ばれたモンテローネ伯爵も当然大激怒。「マントヴァ公爵はどこだ!」と怒鳴ります。そこに当然現れるマントヴァ公爵。感情的になるモンテローネ伯爵を相手に、マントヴァ公爵はリゴレットと一緒になってモンテローネ伯爵を笑います。そこで堪忍袋の緒が切れてしまったモンテローネ伯爵は、呪いの言葉を投げつけます。「娘を想う父親の気持ちがわからないような奴は、呪われるがいい!」呪いの言葉をかけられ、リゴレットは一抹の不安を覚えます。


第2場のあらすじ
モンテローネに呪いの言葉をかけられてしまったリゴレット。この時代において、呪いの言葉の意味合いは強く、またリゴレットは信心深い人間だったこともあり、呪いの言葉を恐れます。 そんなところに現れたのは、ヒットマンのスパラフチーレ。リゴレットに「御用があらば、なんなりと」といいますが、リゴレットは差し当たり問題ないと告げ、スパラフチーレを帰らせます。そして、リゴレットはただ自分が道化師になるしかない体であることを嘆きました。

家に帰ると、リゴレットを迎えてくれたのはリゴレットが愛してやまない情婦ではなく――可愛い愛娘ジルダでした。ジルダは帰ってきたリゴレットに自分の父親の素性や生まれてまもなく生き別れてしまった母親について尋ねます。しかし、リゴレットはジルダに、汚れた世の中を教えたくないと考え、教会へ行くため以外には外出してはいけないと厳しく言って去っていきます。

去っていった代わりに現れたのはマントヴァ公爵でした。彼が美しいと思っていた娘はなんと、リゴレットの娘のジルダだったのです。リゴレットに知れてしまっては大変だと変装するマントヴァ公爵。そして、マントヴァ公爵はジルダと接触し、自分の愛をジルダへと告白します。ジルダは初めての告白に戸惑うものの、相手は百戦錬磨の女好き。ひらりとかわせるわけもなく、すっかりマントヴァ公爵――ではなく、彼が変装した貧乏学生グワルティエル・マルデにジルダは思いを寄せてしまいます。ここで、マントヴァ公爵は人の往来をさっしてその場を去っていきます。ジルダははじめての胸のたかなりに喜びを隠しきれませんでした。

そんな中、リゴレットに苦汁を飲まされてきた廷臣たちは、リゴレットに一泡吹かせてやろうとリゴレットの情婦をさらおうと計画していました。といっても、廷臣たちが情婦だと思っているのはリゴレットの娘であるジルダ。ですが、そうとはしらずに、廷臣たちは着実に計画を進めていきます。

そこへ嫌な予感がして帰ってきたリゴレット。ジルダを攫おうとする面々と鉢合わせになるものの、リゴレットはそんな計画があることなど知りません。廷臣たちは向かいのチェブラーノ伯爵夫人を誘拐するために協力してくれとリゴレットに頼みます。当然断る理由のないリゴレットは協力しようとしますが、それは当然の如くそれは嘘。廷臣たちはリゴレットに「誘拐」に協力させるべく、目隠しをしてしまいます。

目隠しをしたまま「誘拐」に協力するリゴレット。気づくと攫われていたのは可愛いジルダ!そう、リゴレットは騙されてしまったのです。可愛いジルダを奪われて「呪いだ!」とリゴレットは絶叫しました。

第2幕のあらすじ

ところはマントヴァ公爵の屋敷の一室。昨日愛を語り合った愛しの君ジルダが誘拐された!それを聞いたマントヴァ公爵は、いつもならばそして気にかけないというのに、今回ばかりはジルダの身を案じていた。しかし、廷臣たちがマントヴァ公爵に若い娘を用意したと聞くと、マントヴァ公爵はそれがジルダであることを悟り、意気揚々と廷臣たちが用意した場所へと向かいます。

一方、娘を奪われたリゴレットは落ち込んでいるかと思いきや、娘を救おうと道化師として道化話をしながら情報収集にいそしんでいました。ことの犯人であろう廷臣たちに探りをかけ、はぐらかされつつもなんとかジルダの情報を得て、ジルダがいるだろう部屋へと向かいます。

リゴレットはジルダがいるだろう部屋の前にやってくると、ジルダが飛び出してきます。ジルダはマントヴァ公爵に裏切られたとリゴレットに言うも、裏切られてもマントヴァ公爵への愛情は変わっていないこともリゴレットに伝えます。「そうか、そうか」とジルダに言いながらも、リゴレットの心にあるのは、マントヴァ公爵への復讐心でした。

第3幕のあらすじ

マントヴァ公爵に復讐しようとするリゴレットであったが、ここで大きな問題が浮上します。それは、ジルダのマントヴァ公爵へ対する捨てきれない愛情でした。裏切られたというのにまだジルダはマントヴァ公爵を愛しているのです。本当であれば、こんなものはリゴレットもジルダに見せたくはなかったでしょう。ですが、これも可愛いジルダのためと、リゴレットはとある旅荘の壁穴を覗かせます。

壁穴をのぞいたジルダの目に飛び込んできたのは愛しいマントヴァ公爵。しかし、その彼が歌うのは「女は皆気まぐれだ」という歌。そしてマッダレーナという踊り子を口説き始めます。しかも、ジルダを口説いた時とはまったく言っていることが逆なのです。それを悲しむジルダ。それを見て諦めただろうと考えたリゴレットはジルダにヴェローナに立つように命じます。
さぁ、ここからがリゴレットの復讐劇の始まりです!残ったリゴレットは、ヒットマン・スパラフチーレにマントヴァ公爵の命を奪い、その骸を自分に渡せと依頼して、スパラフチーレの前から去ります。

丁度マントヴァ公爵は、酔ってしまってベッドで眠っています。これを逃す手はないとスパラフチーレは仕事にかかろうとします。しかし、ここでマントヴァ公爵に惚れてしまった哀れな子羊が登場します。それはマントヴァ公爵が口説いていた踊り子マッダレーナ。さらに彼女はスパラフチーレの妹でもあったのです。スパラフチーレもヒットマンとしての心得をしっかり重んじてはいるものの、妹の必死の懇願には敵わず、身代わりを立てることにしようと提案します。

その兄妹の話を聞いてしまったのは、リゴレットに旅立つように言われて、本来ならばいないはずのジルダ。身代わりがいなければ、愛しい人は永遠の眠いについてしまう!それをさけるため、ジルダは意を決し身代わりとなることを決断します。そして、ジルダはドアを叩きました。

スパラフチーレからマントヴァ公爵の骸を受け取るリゴレット。これで復讐劇は終わる!意気込んでリゴレットはマントヴァ公爵の骸が入っているだろう袋を川へと捨てようとしたその瞬間でした。

なんと、今はもう骸となったはずのマントヴァ公爵の歌声が聞こえるのです。何年もマントヴァ公爵の下で働いてきたリゴレットのこと、その声を聞き待ち合えるわけがありません。慌ててリゴレットが骸の入った袋を開けてみれば、袋の中に入っているのは――、虫の息となった愛しいジルダ!ジルダはリゴレットに、言いつけにそむいたことを詫びならも、自分の愛した男のために天に召される事の至福を歌いながら息絶えます。
残されたリゴレットは叫びます。「ああ、あの呪いだ!」と。


リゴレットとヴェルディと女心の歌

リゴレットの復讐劇で綺麗に終わるかと思いきや、最後まで悲しい目にあうリゴレット。これはいうまでもなく悲劇といえます。しかし、リゴレットに使われる音楽には、明るい音楽もいくつかあります。特に、マントヴァ公爵が歌う「女心の歌」は、誰しも一度は聞いたことのあるフレーズの曲です。何度も言うようですが、リゴレットというオペラはとても音楽も素晴らしいものです。オペラ自体の終幕は悲劇となり、好き嫌いが激しいものではありますが、一度リゴレットに使われる音楽に触れてみてはいかがでしょうか?


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